自由の女神像の碑文

アメリカと言えば。

真っ先に思いつくのはニューヨーク。アメリカの顔、世界の玄関。

人間だれしも、一度は願うはずです。いつかニューヨークに行ってみたいと。私もそうです。

そしてニューヨークと言えば、なんでしょう?

そう。自由の女神です。

日本人観光客が、自由の女神が立つリバティー島へと、フェリーに乗ってマンハッタンの川をクルーズし、自由の女神を前にして記念撮影をして、雲一つない見事な青空のもとで自由の祝杯を挙げる・・・・きっと爽快です。

さて、そんな自由の女神ですが、その台座に碑文が刻まれていることを知らない人は案外多いです。

それは、次の通りです。

Give me your tired,
your poor,
Your huddled masses yearning to breathe free,
The wretched refuse of your teeming shore.
Send these,
the homeless,
tempest-tossed to me,
I lift my lamp beside the golden door!

Emma Lazarus, 1883

何言ってるか、チンプンカンプンですよね。私もそうです。辞書をつかって、私なりに翻訳してみます。

まずは最初の一文。

Give me your tired, your poor, your huddled masses yearning to breathe free

我に与えよ。疲れ果て、貧しさにあえぎ、ただつましい生活に憧れる、縮こまった憐れな群衆を。

さて、

Yearning to breathe freeは直訳すれば「自由な呼吸を求めている、」です。しかし、この部分、よく考えると奇妙ではありませんか?

「自由を求める」でもよい。それを作者は、「自由な呼吸」という表現をあえて使っている。

これは言い換えれば、その人々とは「満足に呼吸できていない人々」ということです。

「まともに呼吸ができない人々」つまりこれは「最低限の生活もできない人々。最低限の人権も保障されない人々」と同意です。

したがって、「自由な呼吸を求める人々」とはいっても、それは単に自由を満喫したいとか、もっと刺激的な毎日が送りたいといった意味では全くないわけです。

この部分を私たちは誤解して解釈してしまいやすいです。英語力というより思考力の問題です。

これは詩なのだから「自由に呼吸」という逐語訳を文字通りに解釈したのでは、詩が死んでしまいます。その言葉の背景にある作者の真意を抽象的にとらえる必要があるので、ここは「つましい生活に焦がれる」と私はとらえました。

the wretched refuse of your teeming shore.

貴方の国で、隅へと追いやられ、見棄てられた憐れな人々を。

直訳すれば「貴方の国の、人がうようよいる海岸にいる、哀れに棄てられた人」。しかし「人がうようよいる岸辺」とは何でしょうか。なぜ「岸辺shore」という単語がここにあるのか。そして、岸辺にいることがなぜ「wretched憐れ」であるのか。

もちろんこれは、「ビーチで海水浴を楽しんでいる人」のことではありえない。単に詞の韻を踏みたかったので適当に耳障りのよい単語を採用したのでもないでしょう。

海岸とは、国のどこにあるでしょうか。ふつうに考えて国土の端です。隅。そして、人がある場所の端に寄せ集まっているとしたら、つまり、「集団から追いやられている」ということです。

そこで、この一文を翻訳するのに、「海岸」という日本語は不要と考え、「 貴方の国で、隅へと追いやられ(疎外され)、見棄てられた憐れな人々を。」と私なら訳します。

Send these, the homeless, tempest-tossed to me

I lift my lamp beside the golden door

「これらの、家なき、弄ばれた人々を我がもとへ送るがよい。我、神の扉の傍らにてともしびを掲げん。」

さて、この黄金の扉の意味は、「経済的豊かさ」のことでは勿論ありません。たんに言葉の響きが美しかったという厨二的な発想とも関係ありません。

恐らくこれでしょう、フェレンツェ、サンジョバンニ洗礼堂、天国の門。神の洗礼を受けた者が通る扉という意味です。アメリカの経済的豊かさを表す言葉ではないと考えます。よって「黄金」という言葉そのものが重要なのではないと思います。私は「神の扉」と訳しました。

まとめると

「我に与えよ。疲れ果て、貧しさにあえぎ、ただつましい生活に憧れる、縮こまった憐れな群衆を。

貴方の国で、疎外され、見棄てられた憐れな人々を。

これらの、家なき、弄ばれた人々を我がもとへ送るがよい。我、神の扉の傍らにてともしびを掲げん。」

ニューヨークなど米国の東海岸は昔から、戦乱や迫害で追われた人々が寄せ集まる、世界の玄関でした。

富裕層のための観光地ではありませんでした。

家も財産も奪われ、完膚なきまでに叩き潰され疎外されて、着の身着の儘、ニューヨーク海岸に辿り着いた人々は、どんな気持ちで、アメリカの土を踏んだのでしょうか。

何を想って、自由の女神像を眺めたのでしょうか。

人々は何をそこに託したのでしょうか。

こういったことはニューヨークに限らず、パリでもロンドンでも、どこでも言えることなのでしょう。

東京にだって、色々と歴史が、ストーリーがある。

軽い気持ちで、海外旅行するというのは、正直どうかと思います。

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