「あさイチ」で英語は学べない

日本人は英語が苦手であるとよく言われますよね。

しかし、そもそも英語とは、それほど大切な者なのでしょうか? 試しに、ちょっとテレビをつけてみて下さい。そこでは、タレントが英語を話します。羨ましいですよね。

しかし、別のタレントがピアノを弾いていたら、ピアノを弾けることが羨ましいと感じるはずです。すらっとした体系のモデルさんがコマーシャルに出ていたら、今度は痩せていることを羨ましいと感じます。

結局のところ、私たちは、テレビの内容に振り回されているだけです。本当にそれが必要なのかということを考えもせずに。 これは、ある種の刷り込みのように思えます。

19年の7月26日に、NHKの「あさイチ」という情報番組を観ました。そこで、ゲストとして山寺宏一さんが出演されていたのです。山寺さんといえば、国民的に有名な声優さんですよね。今年の夏に公開の劇場作品「ポケットモンスターミュウツーの逆襲EVOLUTION」に出演されるということで、その宣伝もかねて出演を決められたそうです。このNHKのトーク番組を観ていて、管理人は本当に不思議に思ったことが1つあります。

それというのも、番組の前半は、この山寺宏一さんへのインタビューだったので、とても楽しみながら観ていました。この時間は朝で、私も本当は忙しかったのですが、トークのあまりの面白さに魅入ってしまっていたのです。管理人は山寺宏一さんのファンです。途中までは良かった。しかし、番組の後半で、奇妙なことが起こりました。突然、番組の流れが英会話レッスンに変わったのです。

これまでの流れから考えても、意味不明でした。番組は山寺さんへのインタビューをしていたのに、突然、

「あ~そうですか、成程ですね。それでは、はい!次のコーナーに行きましょうか。次は英語のレッスンです!」

という、不自然で強引な流れだったのです。そして山寺さんに英語を学ばせるという、訳の分からない内容の番組に様変わりしてしまいました。これはどういうことなのだろうと。そして私たち視聴者はその内容を無意識に刷り込まれて、「あ、英語が大事だ、あ、ダイエットが大事だ、あ、これが常識なんだ」と思い込んでしまう。そこがおかしいと私は思います。英語が必要な人というのは限られますし、必要だとしても、バラエティ番組で英語が学べるはずもありません。だから、誰が得するのか分からない(得するのはスポンサーや一部の有力者たち)。

その番組では、バイリンガルの方がトンチンカンな英語のクイズを出題して、それを傲慢にも、とつぜん山寺さんに回答させて、山寺さんは当然「ん~分からない」となる。そして芸人さんがコントをして場を和ませて、山寺さんがそれを観て「あはは」と苦笑いする。

その様を、私たち視聴者がずっと観させられるわけです。

国民的声優の山寺さんを手の平で弄んでいるかのような番組の姿勢に、私は日本人として、少し怒りを覚えました。

そんなくだらない「ワンポイント英語レッスン♪」などを見せつける暇があるなら、せっかく国民的人気の山寺さんがゲストとして招かれているのだから、山寺さん自身や山寺さんんの出演する劇場作品にもっとスポットを当てるべきだし、視聴者もそれを望んでいるわけです。それなのに、そうしたことは一言コーナーのようにして簡単に済ませてしまって、あとは無理やり英語レッスンをねじ込むという強引さ。管理人には理解できません。そして視聴者は次のように無意識に刷り込まれます、

「あ、日本の声優界を牽引する山寺さんでも、英語が分からないんだ、私たち日本人は、やっぱり駄目なんだ」

という無力感や日本人としての自信喪失です。あるいはまた、

「あ、日本の声優界を牽引する山寺さんも、いま英語を勉強した。よし、私も勉強しなければ」という、根拠のない焦りです。

このあさイチは、かなり有名な番組であり、専業主婦ならば知らない方はいないと思われます。これを全国の主婦が毎朝欠かさず視聴しているとしたら、日本という国の未来に不安を感じます。

やや話がそれましたが、要するに、英語の習得は万人に必要なものではないし、英語よりも大切なことは、星の数ほどあります。「そんなこと言われなくても、わかってるよ」と皆さまは思われるかもしれません。失礼ながら、本当に分かっておりますでしょうか。英語は、人生に必ず必要なものではないということを。だから、焦る必要はないし、もちろん、劣等感を感じる必要はまったくありません。

以上、ここまで、英語の不要論について述べてきましたが、ここで話の流れを変えて、逆に必要なケースについて考えてみます。

世の中には、本当に英語の習得が必要な方がいます。

海外旅行とか、上昇志向だとか、趣味などではなく、生きるために、それを必要とする人が、世の中にはいます。そういう人は、何が何でも、絶対に英語を習得しなければならない。

これは例えば、シリア難民や、メキシコ移民などがそうですよね。

▲シリア難民を乗せた船が地中海で転覆し、700人が水死。こうした人々にとって、語学は生きることそのものである。(写真:Marina Militare/ロイター/アフロ)

また、その人が英語を習得することで、世の中のためになる、というような場合も、その人は、「何が何でも、絶対に英語を習得しなければならない」と言えるでしょう。たとえば、中国の貧しい農村地帯の若者が、村を代表して、村のお金を背負って、ただ一人留学するというような場合です。この人も、村人の未来を背負っているのだから、英語を習得しないわけにはいかないでしょう。

いま挙げたような例はとても分かりやすいですが、実際には、もう少し穏やかな理由でも、「絶対に英語を習得しなければならない」というようなケースは、意外にも多くあるものです。

例えば、海外の医療技術を学んで、日本での医療に活かしたいと思っているような医師であるとか。 

何らかの複雑な事情で日本ではどうしても諸々の機会を得られない方であるとか。

あるいは、本当にすごく英語に興味があって、英語に対して本気であるという方。何かに打ち込むことを通して、自分を変えたいという方。

これらの方も、十分に、英語を習得するに値します。

というより、習得しなければなりません。

そうした、ある種、特殊な状況に置かれている方は、当然、通常のケースとは区別されなければならないでしょう。

当サイトにおける通常のカテゴリーでは、そのような「特殊な状況に置かれている方」のお役に立てません。

そこで、当サイトの「特殊」カテゴリーでは、取り扱う内容について、他のカテゴリーとは異質な内容にしたいと思っております。すべての方に対して、少しでも有益なサイトでありたいと思うからです。

管理人自身が未熟なため、本気の方に対して、有益な情報提供ができるという保証は全くできないのですが、少なくとも最初から「多数派」を意識した記事を投稿しようとするよりも、多少は焦点が合わさると考えます。

ただ、あくまでも当サイトは、「プロによる英語教育サイト」ではなく、一学習者としてのホームページであるということを何とぞご理解下さい。その意味においては、当サイトもまた、先述の「あさイチ」の「ワンポイント英語レッスン♪」と同じ次元の、低レベルなものなのかもしれません。しかし管理人は、本当に有益な情報とは何かということを絶えず自問しながら、毎回の記事を真剣に推敲しております。

訪問者のみなさまが、それぞれの事情に合わせて、ご自身にもっとも適した方法で、当サイトを自由にご活用いただければと存じます。

©Nintendo・CREATURES・GAMEFREAK ©TV TOKYO 1998

完全に余談であるが、管理人は山寺宏一さんの大ファンであり、またポケモン映画の大ファンでもある。ポケモン映画第一作目の「ミュウツーの逆襲」は劇場で観たし、劇場公開シーンではカットされている冒頭の秘蔵映像まですべて熟知している。左の初代「ミュウツーの逆襲」は生きるところの本質にある苦しみと孤独を問いかけ、その絶望を絶望として受け止めながらも、それでも生きていくのだという静かな決意が最後に示され、どこからかあふれ出る涙が私たちに哲学を余儀なくさせる作品であった。今作の「ポケットモンスターミュウツーの逆襲EVOLUTION」はどうリニューアルされるのか、そして山寺さんはどう演じるのか注目が集まる。

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